収録アルバム『SENSE』のリード曲であり、シングルにしてもおかしくないほどの名曲。爽やかな曲調とは対照的の生々しい歌詞も素晴らしい。ぜひ聴いてほしい1曲だ。
この記事の概要
- 「擬態」のみんなの評価は?
- 「擬態」とは一体どういう曲なのか?
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ミスチル/16thアルバム『SENSE』の2曲目「擬態」
そもそも「擬態」って?
Mr.Childrenが2010年12月1日に発売した16thアルバム『SENSE』に収録されている。
『SENSE』のリード曲。
『SENSE』のCMではこの曲にちなんで「トビウオニギタイ」という(当時は)謎のメッセージが写し出されており、ファンの間で憶測を呼んだ。
シングルでもいいくらいの大名曲で個人的に何回聴いたかわからないくらい聴いたし、何回も救われた1曲だ。
1曲目「I」の鬱々として空気から一転として、爽やかでキャッチーな1曲となっている。
>>>『深海』期を彷彿とさせるダークナンバー「I」~歌詞の意味とは?【歌詞解釈】
また1曲目とこの曲の曲間が短いので、まるでアルバムジャケット写真の暗い深海からくじらが飛び出すような開放感が本当にたまらない。
伊集院光のラジオ番組からインスピレーションを受けて作られた
タイトルの「擬態」とは"他のものの様子や姿に似せること"を意味する。
桜井がよく聴く伊集院光のラジオ番組にて、伊集院光が擬態についての発言をしたことからインスピレーションを受けたという。
桜井と伊集院光は『僕らの音楽』(2008/12/12)で対談したことがあるなど、意外と関係性が深い。
このときの対談で桜井は「伊集院さんのラジオから教えてもらってることいっぱいあります」と発言しており、「擬態」の製作エピソードでこの発言が嘘ではなかったことが分かった。
ひとこと
シングルでもおかしくない名曲
「擬態」のみんなの評価は?
ひとこと
たしかに歌詞は生々しいので好き嫌い分かれるかも
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ここからは管理人の「擬態」独自解釈!
【擬態/歌詞解釈①】負けてばっかり。
この曲は爽やかでキャッチーなんだけれど、歌詞はとにかく暗い。
なんだかんだで前曲「I」の鬱々とした雰囲気を継承している感じ。
>>>『深海』期を彷彿とさせるダークナンバー「I」~歌詞の意味とは?【歌詞解釈】
ただ、この明るめの曲調と暗い歌詞のギャップがどうにか明るい人間に擬態しようとしてる暗い人間をあらわしていてすごく良い。
まずは冒頭の歌詞を引用したので見てほしい。
ビハインドから始まった 今日も同じスコアに終わった ディスカウントして山のように積まれてく夢の遺灰だ
こんな暗い歌詞を冒頭にもってくるのがすごいし、暗いけれど抜群にセンスが良い。
"ビハインド"とは試合で負けること。
つまり、何の試合か分からないが主人公はいつも負けているのだ。
しかも、"同じスコア"という成長を感じられない状態にある。
こんな状態じゃ挫折してもしょうがない・・・。
主人公の夢はこうしてどんどん燃やされてゆき、遺灰になる。
まるでディスカウント商品のように山積みに・・・。
ひとこと
あまり好ましくない日々だ。。。
【擬態/歌詞解釈②】自分とは真逆の存在に「擬態」する。
人は挫折してしまいそうな状態のとき、何をするのだろうか。
それが「擬態」である。
挫折し絶望の淵にいる自分とは真逆の、強くて諦めようとしない"何か"になりたいと思い、真似しようとする。
サビの歌詞を引用したので見てほしい。
アスファルト飛び跳ねるトビウオに擬態して 血を流しそれでも遠く伸びて
地面に打ち上げられたトビウオ。
血を流しながらも何かを目指して遠くへ遠くへと進む。
なんて強くてたくましいのだろうか。
そんなトビウオに主人公は擬態する。
弱い自分とは真逆の存在に擬態することで、どうにか生きているのだ。
見た目がイカつい人が案外メンタル弱いということがよくある。
これはまさにこの曲の主人公と同じで、自分とは真逆の存在に擬態しているからなのだ。
ちなみに、2番の歌詞では"相棒"という存在が登場する。
この"相棒"というのが主人公にとっての憧れの存在。
つまり、擬態したい存在である。
サビで登場する"トビウオ"のより具体的な存在が"相棒"なのだ。
ひとこと
みんな誰かに擬態してる
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まとめ
この世の中はほとんどが擬態したものばかりなのかもしれない。
2番のサビで登場する"効きますと謳われたサプリメント"というのも、"よく効くサプリメント"に擬態した、"でまかせサプリメント"なのかもしれない。
Cメロで早口で歌われる歌詞がこの曲の根幹を為すものだと思うので引用してみた。
富を得た者はそうでない者より満たされてるって思ってるの!?障害を持つ者はそうでない者より不自由だって誰が決めんの!?目じゃないとこ耳じゃないどこかを使って見聞きをしなければ見落としてしまう何かに擬態したものばかり
擬態したものばかりの世の中を生きていくには、どうにかして本当の姿を見破らなければならない。
引用した歌詞の前半で描かれているのは、思い込みを捨てる大切さ。
裕福な人=幸せ者だとは限らないし、障害者=不幸せ者だとは限らない。
思い込みが人の価値観を悪い方向へと変えてしまう。
タイトルの「擬態」はまるで世の中に対する皮肉にもとらえることができてしまう。
擬態したり、擬態されたり・・・そんな世の中を生きていく私たちに必要なのは、思い込みを捨てることなのかもしれない。
ベストアルバム『Mr.Children 2005-2010 〈macro〉』
ひとこと
しっかりとしたメッセージ性も含んでいるので、単なるノリノリソングにならないのが良い
「擬態」の評価
5点満点中5点
アルバムをリードするに値する完成度