サザンオールスターズ５作目のシングル「C調言葉に御用心」 。タイトルがかなり謎だけれど、ちゃんとした意味がある。大ヒットベストアルバム『海のYeah!!』に収録されていたりと、初期のシングルでは比較的知名度はあると思われる。本記事では、そんな「C調言葉に御用心」の歌詞の意味を解説する。
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「C調言葉に御用心」の基本情報
出典：https://www.amazon.co.jp
1979年10月25日に発売されたサザンオールスターズの5thシングル。
ジャケット写真が意味不明すぎる…（笑）
デビュー２年目だった1979年は、「いとしのエリー」「思い過ごしも恋のうち」そして本作と、３作のシングルをリリース。
「いとしのエリー」を筆頭に、全てヒットした。
>>>「いとしのエリー」歌詞の意味とは？～急遽シングルになった背景など解説【サザンオールスターズ】
1980年からはテレビ出演を減らすなどの方向転換を行い、一気に売上が落ちる。
そのため、本作で初期の連続ヒットはいったんストップとなった。
"C調"とは「調子いい」→「ちょーしいー」→「しいーちょー」→「C調」と、単語をひっくり返した業界用語。
C調はもともとその明るい調子（C調＝ハ長調）にひっかけ、1960年代からジャズマンを中心とするミュージシャンの楽屋言葉として使われたらしい。
つまりタイトルの「C調言葉に御用心」とは、「調子の良い言葉に気をつけて」という意味だ。
初めてタイトルを見たときは「変な歌なんだろうなぁ」と思ったが、けっこうポップで聴きやすい１曲。
本作以前のアップテンポなシングル（「勝手にシンドバッド」「気分しだいで責めないで」「思い過ごしも恋のうち」）の勢い任せのノリとはまた違っていて、落ち着いていて非常に爽やか。
歌詞は意外とエロい（笑）。
ベストアルバム『海のYeah!!』に選曲されただけあって、今聴いてもそんなに古くさくない。
「C調言葉に御用心」は桑田自身も満足のいく楽曲だった
同年に発売された2ndアルバム『10ナンバーズ・からっと』は、多忙なテレビ出演により時間が取れなく、満足のいく仕上がりにはならなかったらしい。
それゆえに、桑田は落ち込んでいた。
しかし、「C調言葉に御用心」が満足のいく出来に仕上がり、さらにヒットしたため、自信を取り戻したという。
私の推測だが、1980年からサザンがテレビ出演を減らしていったのは、2ndアルバム制作での「テレビ出演により時間が取れない＝満足のいく仕上がりにならない」という経験が大きな影響を与えていると思われる。
ただ、テレビ出演を減らしたせいで売上が激減してしまうのが何とも残酷な話だ...。
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「C調言葉に御用心」の歌詞の意味とは？
【C調言葉に御用心/歌詞の意味①】本作最大の見どころはBメロ！
正直、よく分からない歌詞が多い（笑）。
たぶん、浮ついた女性と付き合っている主人公の葛藤みたいなものを描いているんだろうけど、やっぱ一筋縄じゃいかないというか、歌詞の内容よりも"いかに気持ち良くメロディーと合うか"を意識して作詞している気がする。
流石に「勝手にシンドバッド」ほど意味不明ではないが（笑）。
とはいえ、しっかりとしたストーリー性もあるっちゃあるのが凄い。
特に、Bメロなんかは個人的に本作最大の見どころ。
たまにゃ Making love
そうでなきゃ hand job
夢で I'm so sad
ぐっと狂おしく All night
この箇所、すごく気持ち良く歌える。
"Make love（性交する）"や"hand job（自慰行為）"といった英語下ネタが登場するにもかかわらず、爽やかに歌い上げることができる。
さらに、「今や彼女との性行為はほとんどなく、自慰行為で処理しているため、夢の中で彼女に謝っている」という主人公の近況を描いているのも素晴らしい。
つまり、彼女との仲は悪く、倦怠期にはいっているということだ。
正直、サビよりもこのBメロの箇所が一番記憶に残る。
【C調言葉に御用心/歌詞の意味②】最高シュールな夢とは？
そして、このBメロ直後の歌詞を引用したので見てほしい。
今夜あたりは裸でいるのよ
最高シュールな夢が見れそうね
裸でいるということなので、久々に彼女と性行為をするということだろう。
しかし問題なのが"最高シュールな夢"だ。
はたして、どういう夢なのか…。
シュールの意味
表現や発想が非日常的・超現実的であるさま。
正直、"最高シュールな夢"という言葉だけでは推測しづらい。
そのため、歌詞全体を見て推測する。
すると、どうも主人公は彼女に愛想を尽かしているように思える。
例えば次の歌詞。
髪の長さや色気じゃ酔えない
照らう元気もありゃしもないのに
乱れそうな胸を大事に風に任せているだけ
これらの歌詞も見ると、明らかに主人公は冷めている。
そのため、好きでもない彼女との性行為後は、「何で俺はこんなことしてるんだ…」という自己嫌悪に陥ってるはず。
そう考えると、"最高シュールな夢"とはどちらかというと"悪い夢"だ。
【C調言葉に御用心/歌詞の意味③】C調言葉のせいで別れる気になれない主人公
さて、Bメロで、彼女と主人公の仲が悪いことが分かった。
なんで仲が悪いのか、どっちが悪いのかは、よく分からない。
冒頭では"いつもいつもあんたに迷惑かける俺がばかです"と主人公自身が悪いようだけれど、２番では"俺に黙って恋をしていたあなたもやはりダメね"と彼女が浮気していたことをほのめかす歌詞も登場する。
つまり、どっちもどっちということだろうか（笑）。
乱れ女の吐息に悩める
あちょいとC調言葉にだまされ
主人公はもう彼女には冷めている。
でも、たまに行う性行為やC調言葉のせいで、どうも別れる気にはなれないらしい。
ここで、ようやくタイトル「C調言葉に御用心」の意味が分かる。
つまり、
あからさまな演技だろうと、男性は女性に甘えられることに弱いため、いつまでも都合の良い男にされてしまうから気をつけろよ！
ということだろう（かなり意訳だけれど）。
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まとめ
最初はタイトルに違和感があったけれど、やはり「C調言葉に御用心」というタイトルじゃなきゃダメだなと思うようになった。
"C調"だなんてもう誰も使わない死語だけれど、インパクトがあるし、いかにもサザンらしい。
もし"C調"を用いてなかったら、確実にありふれた曲になってしまっていたに違いない。
シングル５作目にして、大衆受けするポップなメロディーに、内容に沿ったインパクトのあるタイトル、桑田らしい独特な言葉の使い方を上手く組み合わせているのは、天才的としか言いようがない。
古くさくなく聴きやすいので、サザン新規ファンの方にもオススメの１曲だ。